<僕の彼女を紹介します:エピローグ後編>

このお店はナイトコースだと夜の11時半から朝の10時までで入会金を含めて2万2千円です。
日本のあらゆる物価を考慮してもありえないほどの高値である。
一番安い昼の45分コースでも8千円。この空間だけは人間よりも人形の方が価値が高い世界のようです。
江戸時代で考えると徳川綱吉よろしく。
お人形様です。人形奉行が天下を取っています。
さて、まず部屋にはお店の人といっしょに入ります。
そして部屋の中で色々と注意事項を言われるのです。
「人形はふつうの女の子と同じくらい傷つきやすいから優しく扱って」
みたいな事を延々と5分くらい、写真のような空間で言われ続けるのです。
「それ、"傷つきやすさ"と"優しさ"の意味が違いますから!」
と心の中でツッコミを入れるのですが、笑いはこらえます。笑ったら負けだと感じる空気だからです。
そして肝心なプレイについてですが、実際にトライはしてみました。
正常位でやってみようと、人形の足を持ち上げて膝の上に乗せるとかなりの重さのために
自分の身動きがほとんど取れなくなります。
動けないイコール何もできないということです。
人形の足を思いきり開こうとするとゴムっぽい肌が破れそうになります。意外と硬い関節なのです。
破ると修理代を1〜2万円払う事になるのでとても大胆なプレイはできません。
その重さから考えても、人形を自分の上に乗せたりするのも自殺行為です。
秋葉原の達人たちはいったいどうのようなスタイルで営んでいるのだろうか。
拙者はまだまだ未熟者であった事を思い知らされたのでござる。
そういえば千円追加すると、軽いタイプの人形や、腕と足の関節がはずれるタイプの人形に
チェンジできると言われたのだけど、なるほど、そういう事だったのか。
間接がはずれるだなんて、いったい世の中にはどんな性癖の持主がいるのかと驚愕したのだけど、
機能面で考えたら実に合理的である。
それから重い重いと言っている人形なのだけど、重さは20キロだそうである。
いや、まあ、それなりの重さではあるのだけど実際の女性よりは遥かに軽いのである。
はて、なぜに人間の女性のほうが重いはずなのに、それより軽いはずの人形は動けなくなる
くらいに重く感じてしまうのかと考えた瞬間、脳裏に稲妻が走るのだった。
男性は気づく事がない、実際の女性の「隠れた優しさ」というものの存在に私は目から鱗が
落ちる思いなのである。
その事を知り得たという点においては、今回の経験は私の人生において偉大なる足跡を残し、
新たなる活路を見出したと言っても過言ではないのではあろうか。
おお、人間の女性のすばらしさよ。
そんな言葉を締めに、効きカップ焼そばに負けた罰ゲーム「ダッチワイフのいる個室ビデオに行く」
は終わりにしたいと思う。
[ 犬ヨさん
]