詩一篇

  見られ続けていると
  ぼくがぼくでなくなる
  ぼくでなくなってしまいそうなぼくを
  それでもまだ見ていてくれる目の
  あることを怖れる

  聞こえ続けていると
  声が声でなくなる
  声でなくなってしまった声で
  それでもまだ語らねばならぬ言葉の
  あることに苦しむ

  見つめ続けていると
  あなたがあなたでなくなる
  あなたでなくなってしまった誰かを
  それでもまだ愛していられる心の
  あることを信じる


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