紅葉真っ盛りの栗駒山で執り行われた

山頂結婚式
ご披露レポート

秋の栗駒山はひときわ美しい。何しろ紅葉前線が山頂からつ浪のように里へ里へと押し寄せてきて、やがて全山は、錦の衣を羽織ったようになる。そんな秋真っ盛りの2001年9月29日、栗駒山で、初の「山頂結婚式」が執り行われた。

新郎は、「くりこま高原自然学校」の若きスタッフ通称「との」と呼ばれる金沢直樹くん(出身地秋田県横手市)25歳。新婦は、渡り鳥の生態調査をしているという「まめ」こと佐藤真由美さん(同会津若松市)24歳。二人の出会いは、もちろん「栗駒山」。二人は子供達に自然の素晴らしさを体験学習するための民間施設「くりこま高原自然学校」(佐々木豊志校長)のスタッフ仲間だ。どうやら若き「との」と「まめ」ちゃんは、栗駒山の自然の中で秘かに愛を育んだようだ・・・。

そんな二人は、出会い見守ってくれた栗駒山に感謝を捧げながら、立会人を依頼した形だ。実に粋で、しかも若者らしいアイデアではないか。この日、二人は、下の写真の如く、栗駒山も羨むような仲睦まじさで、手作りの「山頂結婚式」を挙げた。

このユニークな「山頂結婚式」に出席したのは、二人の郷里の横手市と会津若松からやってきた家族と、「自然学校」のスタッフと友人達、約60名ほど。司会進行は、もちろん二人のボスである佐々木豊志校長。一行は、いわかがみ平を9時半過ぎに山頂に向けて出発した。当初少しガスがかかったていたが、それが逆に神聖な雰囲気を醸し出してくれた。紅葉真っ盛りの登山道をバージンロードに見立て、やや緊張気味に歩き始めた一行であったが、途中から、一般の登山者も加わり、和気藹藹(わきあいあい)の素敵な結婚式となった。

小一時間とちょっとで、山頂に着く頃には、みんなすっかりうち解けあって、明るい笑い声が、山頂のそこかしこで聞かれた。雲はいつしか眼下に霧散し、標高1627.42mの頂上で、二人は指輪を交換し、人も羨む甘い甘い口づけを交わしたのだった。

かっこいいぞ、「トノ!!」(金沢くん)。素敵だったよ。「まめ」ちゃん。栗駒山の前で誓い合ったあの瞬間を永遠に忘れずに、素敵なご家庭を築かれんことを祈ります。まずは本当にご結婚おめでとうございます。(文は佐藤弘弥。写真は菅原次男氏でした。)


写真No1  山頂結婚式の受付

山で逢い山に生くるを本望と誓いを立てしふたりの門出
 

写真No2     山頂結婚式の打ち合わせ

山頂に雨雲湧けど日の宮の神に願はむ今日を佳き日と
 
 

写真No3    新郎新婦、3kmのバージンロード出発

新郎が背負いしものは栗駒の神霊(かみ)に差し出す婚姻届け
 

写真No4    山頂結婚式参加者、山頂は雲がかかっている。

雲晴れて楓色づく栗駒は若きふたりのバージンロード

写真No5      バージンロードの小休止

「疲れたら休めばいいさ」と早くにも山神(しんぷ)の笑顔に女房のゆとり
 

写真No6   新郎金沢直樹さんのフアミリー

栗駒に根を下ろさむとする息子をば横手の両親(おや)は頼もしく見む
母の目に涙浮かぶを息子はや知るや知らずやすくすくと伸び
 

写真No6−2 新婦佐藤真由美さんのフアミリー

おしょすがる新婦の父母は会津人写真苦手と逃げ出すもよき
照れもまた只奥ゆかし慶びを奥でかみ締む会津堅気は
栗駒にわが娘(こ)嫁がす父母は照れて笑って山頂(いただき)に居る
雲深み見ゑるはずなきふるさとの磐梯山を探す親居り
 

 

写真7 紅葉進む栗駒山は美しい

霊峰の栗駒山も赤々と照れて見ゆなり山頂結婚
紅の山となりたる栗駒は雨を留めてふたりを祝し
 

写真8 栗駒山頂の結婚式場へ到着

かにかくにふたりを見つむ多くの目山はいつしか式場となり
 
 

写真9 結婚宣言

真つ白きベールを長く従えて新婦は遠く会津を想ふ
 

写真10 結婚指輪の交換

幸せな兄を見つめる妹の寂しき視線誰か癒さむ
 
 

写真11 結婚届けの署名

晴れ晴れと雲を眼下に従えて直樹と真由美の山頂結婚
 

写真12 永遠の愛のキッス

この愛が永久なるものとなるように山は見ている若きふたりを


2001.10.3

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