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遥かな60年代後半、そのごく数年間だけに存在した、そのくせその影響力はビートルズにも匹敵するかもしれないバンド。
VELVET UNDERGROUND。 彼らの名前が三流の SM マガジンからとられた事は今ではあまりにも有名な話だが、そんな事を知っている人の殆どが
VU をリアルタイムで経験していないというのも変な話だ。かくいう私自身最初に VU を聞いたのはいつだか思い出せないのだが、あきらかに70年代以降、すでに
VU 解散の後 Lou Reed がボウイのプロデュースでソロ・アルバムを発表した頃の事だったと思う。 |
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例えば地球を回る人工衛星から振りまかれる愛の歌とか、ニューヨーカーの日常の会話の歌であるとか、やばいあたりを歩き回ってみようだとか、そんな
Lou の曲に合わせてギターを弾いている内に、それがパーティーの後の日曜の朝の歌になってたり、しゃがれ声のシンデレラの歌であったり、これからどうなるかわかんないけどまあいいやってロックンロールであったり、オカマのキャンディーとの友情の歌だったり、青いひとみにみせられた気弱な青年の歌であったり、そしてVU
の頃のアルバムが徐々に増えだして、気がつくと発表されてるアルバムは大体手に入れていたって訳だ。 |
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そうかと思うと 初代 NY パンクの連中が VU のカバーをやってたりして、ちょっと気取った雑誌にもアンディーウォーホルと共に語られていて、ウォ−ホルと
VU の出会いとか、彼らのピッピーの聖地へのライブツアーの酷評の事とか....そればかりじゃない、フェリーニの映画に
Nico の姿を発見しては興奮し、その
Nico の息子が誰それとの間にできてとか、イギリスに渡ってからの時代とか、ウォーホルに拾われてからどうのとか、実は
Lou も Nico に恋してた時期があって、とか...そんなゴシップ・ネタにもことかかない。 |
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まさに彼らの情報は時間がたつに連れて減るどころか、ドンドンと増え続けて、それは彼らの2枚組みのライブ・アルバムに書かれたライター・ノートにあるように、まさに”あと20年もすると彼らの音楽は教科書にのるに違いない”といった様相だった。まさに最初は
"Heroin" なんて曲名が歴史に残るだなんて、最高のジョークだったハズなのに... |
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あえて再結成した時のライブの感想は省く事にしよう。(どうせ経済的な問題なのだから) オリジナル・メンバーの Sterling
Morrison は去年静かに死んでしまった。 もう VU の音が再現される事はないのだろう。一番天国に近かった60年代のヒーロー
Lou Reed が未だ生き長らえているとしても... |
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