※入館.
温泉郷として名を馳せる登別駅から目と鼻の先の距離にあるこの水族館、抜群の立地環境を鑑みるに、
さぞかし煩雑な街中にて窮屈そうに立っているのだろうなと思っていたら、現実があまりに真逆すぎて、
しばしその場に立ち尽くす羽目となった。流石は北海道、土地の使い方があまりに豪快すぎる。
さて、改めてメインの本館を眺めてみる。
うん、¥2300という高額な見料に見合った、実に凝ったゴージャスな造りをしている。
デンマークはオーデンセ市に実在する水上城郭「イーエスコー城」をモデルにしているらしいので、
右側に本家の写真を並べて比較してみた。…正直、あまり類似性は感じられないが、
まあこういったもので一番大事なのは雰囲気だと思うので、とりあえずこの場はスルーとしておく。
※麗しのペンギン君.
館内に入った途端、ペンギン君の行進イベントに出くわした。
ペンギン・スキーのミー的にはいきなり俺得すぎる展開である。
ちなみにこのペンギンは「キング・ペンギン」、いわゆる映画「皇帝ペンギン」の元ネタ。
どちらかと言えば小柄なフンボルト君の方が好みだったりするのだが、威風堂々としたキングさんの
それもなかなかに悪くなかった。
その行進をたっぷり見た後は、ペンギン舎の方にて集団のそれを見物し、その哀愁漂う後ろ姿に再び心を射抜かれる。
これぞまさしく「漢」の背中… やはり男子たるもの人生にて背負ってきたものの何たるかを表現する際は、
言葉でなく、その背中一つで語るべきか。また一つ大切な何かをペンギンさんから教えられたような気がする。
別のペンギン・コーナーに赴いたところで冊のはしっこの方に、はぐれ「イワトビ・ペンギン」君を発見。
しかもまだ子供だ。見れば分かる通り、冊は大変低く、ミーはこのペンギンが冊から落ちはしないかとヒヤヒヤ、
無事に中央スペースに戻ってくれるまでそこを立ち去れなかった。
と、ここでそんなイワトビ君にピンチ襲来、「わ〜、かわいい」などと呟きながら、
このはぐれイワトビ君にタッチをこころみる不届き千万なカップル出現。
おのれヒューマンのメスめ、貴様のその高々と振り上げられた右手はなんだと問い正したい。
※哀愁の磯コーナー
さて、こちらは水族館に付きものの磯コーナー。
親達が自分の子らを暖かく見守る中、ガキ共は容赦なく魚やヒトデをひねりつぶすことにより
生命の大切さ・素晴らしさを感じとるといった、大変有意義かつ微笑ましいコーナー、の筈である。
この光景を見るにつけ、実のところ魚類虐待以外の何物でもないのではと思うことも時々あるのだが、
良識ある親御さん達からすると決してそんな事はないのだろう。ミーとしては容赦なく壁や水面に
叩き付けられるヒトデ君達をただ切々と眺めるのみである。
ところでこの磯コーナ、一定時間ごとに壁から波が噴出されるという大変凝ったしくみになっていて、
ミーはこれにたいそう感嘆した。もちろん圧倒的なまでにヒトデ達を押し流すその容赦なき水圧にである。
ブッタ的に鑑みるなら、磯コーナーほど輪廻転生の業を教えてくれる場所もそうはないと思う
※館内散策.
「館内散策」、それはメインとなる魚類に留まらず、その水槽の形状、ディスプレイ、オブジェクト、
そして水族館そのものの構造との調和、それら全てを満遍なく堪能し尽す発見の旅路。
アクアスペースは空間と生物が一体となって織りなす、有機的なアートでもあると思う。
ここで水族館定番の生き物であり、非常に目をひく生き物達をざっと紹介してみる。
左から「ヘコアユ」「クエ」。
インド出身の「ヘコアユ」は、常に頭を下にして泳いでいるおかしな魚。
危険が迫るとウニの中に身を隠す軟弱派なのに自らの姿勢は常に直立、何故か威勢だけはいい奴だ。
右のクエは正面からの顔があまりにインパクト大だったので撮ってみた。
そのデカい図体を活かした存在感と正面から見たその表情の豊かさは、他の魚の追随を許さないオモシロ魚だと思う。
こちらの左は「オウム貝」。
「生きた化石」という大層な称号をお持ちのわりにはそこら中の水族館で見ることができてしまうというその節操の無さ、
そしてその芸風を何億年も変化させることのないまま、あっさりと生き残ってしまうこのしぶとさ、力強さ。
その生命力パワーをせめて半分でもいいから、人間界で淘汰されてしまいそうなこのミーにも分けて欲しいものだ。
右のはいわゆるカサゴ系のニュータイプ型である「トクビレ」さん。
市場では「はっかく」とも呼ばれ、テレビなどでも再三取り上げられる人気者らしい。
何ゆえスターなのかというと、そのメカニックな外見にもかかわらず、刺身にしても、鍋の具にしても、
みそを乗せて軍艦焼きにしても美味いから。そう、魚は人と同じく見かけによらないようだ。
続けていこう、左は「深海を閃る火の玉小僧」との異名をとる「サケビクニン」さん。
飾り気のない水槽の中を暗中の炎よろしくウネウネと揺れ踊るその迫力が、写真ではいまいち伝わりにくいのが残念だ。
ここ「登別マリンパークニクス」のシンボル魚でもあり、稚魚からの育成も行っているらしい。
故にこれだけ大量のサケビクニン遊泳を見れるのは日本広しといえどもおそらくここだけだろう。
とにかく目を引く魚なので、まだ鑑賞されていない方は、一度は見ておく事をお勧めする。
で、右のメカメカしいフォルムをしているのが「ワニガメ」君。
夏休みイベントの一環として「世界の亀展」を丁度開催していたのだが、その中で最も目立っていたのがこれだった。
ちなみに噛まれるとかなりの高確率で指を失う羽目になるらしい。
最近この亀をペットとして飼いきれなくなった不届き者が、近くの池や川に放流してしまうという
事件が起きているらしいが、この種の危険性というものをもう少し認知してほしいものだと思う。
※エースの風格
さて、この「登別マリンパークニクス」最大の売りが、1・2階フロアをブチ抜いて造られたこの「クリスタル・タワー」。
上下に長く伸びた水槽内を優雅に泳ぐ魚群に見とれつつ、ふと下を覗き込めばそこにはワラワラと人が…
内面にてむくむくと沸き起こる小学生マインド及びツバ爆弾落下リビドーを懸命に抑えつつ、黙々と観賞を継続する。
例え自分自身の若さゆえの過ちは認めたとしても、現在の大人としての分別を失ってはならない。
で、前述した「クリスタルタワー」と並ぶもう一つの目玉ポイントがこの「アクア・トンネル」。
界隈内じゃ既にありふれた手法になっているとはいえ、水中を泳ぐ大量の魚群を真下から仰ぎ見る形になる
この手のトンネル型水槽の景観は、やはり何度見ても魅力的だ。
加えて「寒流系」と「暖流系」、2種類のトンネルが設置されていることで、それぞれ趣きを異にする
海底散歩気分を味わえるところは、この水族館ならではの強みだと思う。
※グラップラーの血脈
館外にて「ドでかいゾウガメがやってきた」との看板を発見。
そのあからさますぎる「ド」のフォント強調に、はからずともノセられてしまい、ソッコーで見に行ってみる。
そしていざ見た瞬間 「デカアァァァァァいッ説明不要!!」とのナレーションが頭の中で鳴り響く。
というか、もう岩そのものだ。そしてピクリとも動かない。やる気がないどころの話しではない。
思わず指さして「シータ、あれが飛行石だよ」と毒づいてみるも、まったくもって変化なし。
「大男、総身に知恵が回りかね」という諺は亀業界においても、多少は当てはまるものがあるようだ。
※そこにある憩い
敷地内に設けられた公園にて、その手の施設に付き物の動物型ライドを発見、
しかも水族館らしく、その種類はクジラ君とイルカ君だった。
それにしてもこれらのライド、敷地内の端にある公園のそれまた端っこという、
これまた随分と寂しい場所に設置されていた。
当然のごとく周囲に人影なし。水族館の隅でひたすら雨ざらしになりつつ、いつ現れるとも分からない
搭乗者をただただ待ち続けるライド達。まだ見えぬ憧れの騎乗位の君…ああ貴女は何処…
うむ、少々むなしい気分になってきたのでそろそろ帰ろうと、出口の方に足を向けてみる。
その道すじにて「北欧ギャラリー」なるイベント・ホールを発見したので少々ひやかしてみた。
棚に鎮座なさっておられるザ・バイキングな皆さんがラヴリーすぎる。
鑑賞を終えた後の疲れをいやし、高ぶった気持ちを収束させる為のスペースは、地味ながらも水族館には
必要不可欠な施設の一つだと思っているのだが、この空間は程々にこの条件を満たしていると見受けられた。
極めて人気がないようで、誰もが入って5分程で退出してしまうところも大変よい。
ただ、ちとハイグレードすぎるのが長所かつ欠点でもあり、いまいち詫び寂びという点に欠けているのが
少々残念ではあるが、それをこの空間に求めるのはテーマ的に酷というものだろう。
ファミリー | ★★★★☆ | わらわらと |
カップル度 | ★★★★☆ | うようよと |
わびさび | ★☆☆☆☆ | ほぼ皆無 |
学術度 | ★★★☆☆ | バランス良し |
お得感 | ★★★★☆ | 少々高い |
建物装飾 | ★★★★★ | 一流 |
水槽装飾 | ★★★★☆ | 「魅せる」ベクトル |
総合調和 | ★★★★☆ | 水族館というよりはテーマパーク |
憩い場所 | ★★★☆☆ | 放置ライド群は悪くない |
磯コーナー | ★★★☆☆ | 残虐性高め |
ペンギン度 | ★★★★☆ | 行進度マックス |
レア度 | ★★★☆☆ | サケビクニンンとゾウガメは○ |
総合 | ★★★☆☆ | あくまで私的視点より |