MCM6810

Motorola社がMC6800に簡単に接続できるように開発したRWMがMCM6810です。容量は1 Kbitで、8 bit構成で128 Byteになっていて、制御信号もMC6800系のCPUに直接接続できるようになっています。いわば特定のマイクロプロセッサ専用のメモリというわけです。容量が小さすぎると思うかもしれませんが、もともとこの時代のマイクロプロセッサは何かの機器の制御用に使われることが前提ですから、プログラムは(マスク)ROMに入れて、スタック領域やわずかな作業領域のためだけにRWMが使われます。ですから64 Byteでも充分な容量であることだって多かったのです。また、チップセレクト端子が多く用意されているため、数個なら(多少イメージが出ても良いという条件で)他に部品を追加せずに接続できます。
ただし、もともと少量のメモリのために作られているため、512 Byteよりも大きなメモリをこれで実装するのには向きません。

MCM6810
1975年製の旧式セラミックパッケージ。MCM6810L-1です。
例によって、このパッケージも歪んでいます。特に左上と右下部分。欠けているわけではありません。

写真のものにはMマークの右上に-1という赤い文字がスタンプされています。これは速度バージョンを表す文字です。無印のMCM6810のアクセスタイムは1000 nsで、MCM6810-1のアクセスタイムが575 nsという具合に、-1付きのほうが高速です。MC6800を1 MHzクロックで動作させる場合、最悪575 nsのアクセスタイムが要求されますから、MCM6810-1しか使えません。
後に改良型のMCM6810Aとなるとアクセスタイムが450 nsなど高速化され、1 MHzバスクロックに適合するようになりました。また、バスクロック1.5 MHz用および2.0 MHz用のMCM68A10AやMCM68B10Aも用意されています。

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