ALTAIR 8800b Internal View

ALTAIR 8800bの上部カバーはリアパネル面の2本のネジをはずすだけで取り除けます。
カバーをはずして正面から見ると、このようになっています。

Altair 8800b Internal view 1

筐体内の前から2/3はマザーボードになっていて、基板が挿入できるようになっています。基板用のコネクタは18本。そのうちの2本を向かって右側にあるパネルのインターフェース基板とCPU基板が消費しています。中央左寄りに挿入されているのがメモリボードで8 KByte。左端に挿入されているのがシリアルインターフェースです。両方ともサードパーティの国産メーカ品です。オプション。標準装備には確かに1 bitのメモリも含まれません。
筐体内後部には、左から電源平滑用の電解コンデンサ、ファンと見にくいですけど整流基板、右側に巨大なトランスが配置されて、一口に言うと電源部になっています。このトランスが、14 cm角くらいある巨大さで、大変に重い。ALTAIR 8800シリーズではローカルレギュレータ方式を採用していて、電源部では整流して平滑しただけの非安定の+8 V, +18 V,  -18 Vを作成するだけです。あとは各基板ごとに自分が消費する分だけ安定化して使います。当時の条件ならスイッチング電源を使用して一括して電源管理を行うよりコストダウンできたんでしょうがね。電源のスペックは+8 Vが18 A、+18 Vと-18 Vが2 Aです。+8 Vは平滑しただけですが、内部の消費電流によってトランスのタップを切り替えるようになっています。下の写真だとわかりやすいですが、トランスの左に大きな端子台が見えますね。消費電流が増えるに従って、その端子の配線を切り替えるよう、マニュアルに指示されています。+18 Vと-18 Vはツェナーダイオードとパワートランジスタで簡易安定化されています。平滑用のコンデンサにそれほど大きな容量のものを使用していないので、補償しているつもりなのでしょうか。+8 Vの18 Aという電源容量は大きそうに思えますが、18枚の基板を挿入できるようになっているわけですから、1枚あたり1 Aと考えると、意外に小さいかも。メモリボードなんかは数A消費するのが多いですから、フル装備すると電源が足りなくなりそうです。実際には10枚以下で使用するのが適当でしょうか。同程度の規模の筐体のIMSAI 8080なんかは+8 V電源は28 Aの容量でした。
ファンの左に楕円形のシールが見えると思います。ここには1867と読める数字が手書きで書かれているんですけど、これが本当のシリアル番号なのでしょうか。筐体のリアパネルには別に示したように5401836Aと書かれた紙が貼られているんですけど。31という数字の差が意味ありげですね。

Altair 8800b Internal view 2

真上から見た写真がこれですね。電解コンデンサと電源トランスの間に小さな整流基板が取り付けられているのがなんとかわかると思います。マザーボードのバス配線は片面基板で、グランドプレーンなどの工夫は一切みられません。8800 busの設計といい、マザーボードの作り方といい、アマチュア向けの低価格製品だったのだなぁ、と、しみじみ思います。こんなバス規格でもはやってしまうと高速化したり16 bit化してIEEE規格にしてしまったりしたんだけど、いかんよねぇ。
それと平滑用のブロック電解コンデンサへの配線。2本の電線で写真のように基板と接続したのでは、効果は半減ですね。教科書にも悪い例として載せられそうな配線です。一応、18 Aの電源の平滑回路なのですから、こんなに細い電線で引き回してはいけません。2対の電線を使って、4端子の部品のつもりで配線しなくては、電線のインピーダンスというか直流抵抗で、せっかくの平滑能力がそこなわれます。
内部には、この真上からの写真でよくわかるように、電源と8800 Bus用の基板スロットと、フロントパネルしかありません。ハードディスクベイとか、フロッピーディスクドライブの取り付け場所なんてありません。ま、当時のハードディスクは、この筐体に収まるほど小さいものはほとんど無かったし、FDDは8インチが主流でしたから、外部に取り付けるのがあたりまえでしたけどね。仮に増設できたとした場合ですが。それでも、この8800 Busに取り付けられるメモリやオーディオカセットインターフェースのほか、音声認識ボードなんかが早い時期に開発されて販売されていました。もちろん、手配線用の基板も市販されていて、アマチュアがさまざまな入出力基板やメモリ基板を自作していました。ミニコンピュータの中古よりよっぽど安いし、内部情報も完全に公開されていましたからね。そもそもキットで販売されていましたから、自作派向けですし。互換メーカがたくさん出現し、約10年は栄華を誇っていました。

Altair 8800b Internal view 3

後ろから見た写真がこれです。フロントパネルの裏側には、ほぼ同サイズの基板が取り付けられています。向かって左側の部分で、パネルとのインターフェース基板に接続されていますね。この角度からだと、CPU基板とD/Cインターフェース基板が左側に2枚並んで挿してあるのがわかるでしょう。注意してCPU基板を見ると、反っているのがわかると思います。国産のメモリやシリアルI/O基板はぴしっとまっすぐなのに。

CPUを中心としたALTAIR 8800bの基本セットに写真に含まれるメモリボードとシリアルインターフェースボードを組み込めば、CPUとメモリとI/Oポートという最低限のコンピュータといえるものになります。しかし、拡張性を考慮してバッファ類やシステム制御用の部品が多いとはいえ、8 KByteのメモリとモデム制御線を含まないシリアルインターフェース1回線だけのコンピュータなのに、使用しているICが180個を越えています。今となってはなんだかなーの世界でしょうね。

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