Banging a CG Gong

[Jump tp English page]

 3/26(金)、日経BPホールにて開催された、 シーグラフ東京主催、 日経BP、 のスポンサーによる CGゴング に参加、発表してきました。全部で14件ほどの発表がありましたが、 バラエティに富んでいて、様々なジャンルにおけるCGの取り組みを 概観できるようなイベントでした。


 当日、降りしきる雨の中、会場の 日経BPホール に午後六時頃着くと、 既にスタッフの皆さんと何組かの発表者の方が準備を始めていました。 私も手続きを済ませて早速セットアップに。というか行きの電車の中で まだ作っていたコンテンツの一部と プレゼン用スライドを本体に マージしていたのでした……。

 やがて観客も集まり始め、午後七時をやや過ぎてからいよいよCGゴングの 開催となりました。まずは司会の方から要旨の説明。今回のイベントは、 発表の技術的な内容もさることながら、発表者がいかにして観客にアピール するかが評価の対象になるとのこと。面白かった時や、逆につまらなかった時 にはその気持ちを発表者にぶつけます。と言っても使うのは入場の際に 手渡されるおもちゃのハンマー。 toy hammer 振ると子供用の靴のようにキュコキュコ音がします。
 一組当たりの持ち時間は五分と短めなので、要点をうまくまとめることが 発表者には要求されそうです。ちなみに時間切れになると、銅鑼の音が 会場に響き渡ります。

 発表の内容及び様子を以下にまとめます。

  1. 「映像/『freedom』の制作を一人でやったから本当の話しを生でします。」  佐々木 稔/テクノネット
     ビデオ上映。汚れて生活感のある工業地帯のような街並みの中、 列をなして行進するロボット達。 entry1
  2. 「VJ booth」  井上竜彦、成田康宏、村田真人、鈴木敬幸/Great rift Valley
    entry2  2DベースのVJソフトを実演。同心円状に広がる様々な色彩が、 VJの操作に従って万華鏡のように回転し新しい画像を動的に作成します。 ちなみに音楽もオリジナルで用意したそうです。
  3. 「Fifteen Seconds of Fame(インタラクティブムービーの提案)」  岩澤昭一郎、森島繁生/成蹊大学
     誰でも映画の主人公になれるシステムで作成したビデオを紹介。 実際の映画の映像で顔の部分だけを別途用意した画像と差し替える ことで人物を置き換えます。表情の変化や口の動きなどは、映画の 音声トラックに合わせて変形をかけることによって実現しています。 entry3
  4. 「VRML 3Dアニメーション」  田辺由嗣/IndyZone
    entry4  VRMLを使い 実際にインターネット上で稼動しているコンテンツの紹介が ありました。一つはInfoSeek にて様々なランキングを踊りながら(^^)紹介してくれる サチヲ君。キャプチャした 踊りのデータをVRMLで再現しています。もう一つはPanasonic Hi-Hoの中で公開されている 3D ストリーミング・アニメーションのコンテンツ。 RealPlayerのストリーミング技術を使って 狭い帯域幅でもスムーズなアニメーションを実現していました。
  5. 祗eslie Baker demo reel Leslie Baker/CentropolisFX
     キャラクタ・アニメーションのビデオ紹介。 彼の考える日本人のイメージだそうです。 うらぶれた街角にたたずむ人、撃ち放たれる銃弾など 味わいのあるモチーフが散りばめられています。 entry5
  6. 「Chikuwa F/X」  木下 孝二/千葉大
    entry6  音楽を、切り方によって様々な局面を見せてくれるちくわになぞらえ 命名された ChikuwaF/X。 画面に表示される直方体をクリックすることで音符を並べ、その場で 音楽を制作してゆくVRMLコンテンツです。これを使ったライブパフォーマンス なども行っているそうです。
  7. 「万葉歌人の立体系図の試み〜information visualizationの一考察として〜」  澤井健/(株)バスプラスワン
     万葉歌人達の様々な相互関係・因縁を立体的な系図として表現する試み。 当時の風習より、近親結婚などが多かったため、系図を平面で記述するのが 困難だったところからこのアイディアが生まれたそうです。血縁関係 ばかりでなく、政治的な対立や三角関係なども、系図の組み替えでビジュアルに 表現しています。似顔絵の描かれたアイコンが検索条件に従って空間を 駆け巡るエフェクトも楽しいです。 entry7
  8. 「「福田さん」が、イメージ・フォーラム'99大賞、「Kids Talk」が、 エデュテーメント・フォーラム'99最優秀賞をもらったので、 IAMAS-TV1時間15分を5分に無理矢理編集してしまいました。」  高桑昌男、新津亜土華/IAMAS
    entry8  IAMASの学生による作品を集めて 制作されたビデオのダイジェスト版を紹介。もともと1時間15分あったものを 5分にまとめているためかなり急展開でしたが、いろいろな指向の作品を 見ることができました。実写風景の中を突っ走る巨顔ロボットが個人的に ウケました。
     なお、これらの作品は、ケーブルTVの「IAMAS TV」という番組で放送 されているそうです。
  9. 「deepsonar nomadic」  福田 善文
     で、ついに私の発表となりました。 deepsonar という、DJとVJをミックスした 3DJ ソフトなのですが、言ってみれば仮想空間内でお皿を回して絵も流すといった ところです。また、ネット上の音楽へのリンク情報をまとめた eDISCと呼ぶ コンパクトな仮想メディアをプレイに使っているため、ネット上に公開されている 音楽を手軽に配信できるといった特徴があります。いつもは 中野の方 でやってるとあるパーティ でデモしたりしてます。
     今回本番ではさらに、 GyroMouse Proを利用して、体を使った(^^;)パフォーマンスをする予定だったのですが、 充電池の調子が良くなくて結局できませんでした……。
    entry9
  10. 「CGよもやま話とCG業界でも使用されているファイリングシステム」 蓮池曜/株式会社サピエンス
    entry10  衛星放送を利用した雑誌や新聞のオンライン配信。 SPACEINKと呼ばれる 紙面放送サービスでは、専用のビューワを使うことで、 サピエンス・ ドキュメント・サーバーから衛星を通じて配信されるコンテンツを 手元で表示可能とのこと。コンテンツを鍵で保護することにより、 不正利用の防止や年齢制限などができるそうです。
  11. 「モーションキャプチャーデータの活用と我が国における政治的、 経済的波及効果」  O(オー)/「Pinocchio Scope」
     Poser3 を使って簡単にモーションキャプチャが行えるようになったことで、 政治経済にいかなる影響があるかをごく端的かつ明瞭に伝えるデモでした(^^)。 某国の政治家が画面せましとパフォーマンスを繰り広げます。ついには 発表者本人も自分の顔にテクスチャを貼り付けて……。(この模様を撮影した 写真が日経CGの1999年5月号に 載っていました。) entry11
  12. 「Clair Voyance Audience 略称:CVA(シーバ)」  石川勝一郎
    entry12  リアルタイムに反応するVJソフト。全体のテクスチャが動的に変化する だけでなく、中央に置かれたメタボール風のオブジェクトが入力した 音楽に応じて形状を変えます。
  13. モデリングソフト
     東大の板橋さんという方の、Javaベースによる3Dモデリングソフトのデモが ビデオで紹介されました。液晶パネルをペンでなぞるだけでどんどんモデルが 作成されてゆく様には、会場の皆さんが驚いていました。わかりやすい インターフェイスということもあってか、ビデオの中では子供が楽しみながら 人形のモデルなどを自由に作っている様子が紹介されていました。
     なお、この作品はSIGGRAPH 99でも 発表されることになったそうです。
    entry13
  14. 「江戸浮世風呂パノラマ」  中村伸夫
    entry14  江戸時代の風俗を3Dで再現し、パノラマ風に360度回転する視点で 見渡すことができます。モデルやテクスチャが精緻に制作されていて、 ズームにも十分耐えられる画質です。臨場感が出ていました。


 といったところで無事に発表が終わりました。ひとくちにCG、3D といっても、その中にはたくさんの局面があり、それぞれの場で 多くの人が制作に携わっています。この日はそんなCGの世界の様子を 広く浅くかいつまんで見られたような気がします。(けどVJ系の ソフトが(私のも含め)多かったのは、今のベクトルを示していた のでしょうか?)

 ちなみに今回は今までのセミナーに比べても観客の入りが良かった そうで、また発表内容に対してハンマーをめいっぱい鳴らしたり、 思わず笑いが漏れたりと、反応も良かったようです。(実は私は シーグラフ東京の会員ではないので今までがどんな風だったか 把握してなかったりするんですが……。)

 午後9時からは、別会場で懇親会となりました。設置されたプロジェクタを 使ってライブ・デモが行われたり、発表者も観客もみんな集まってお話に 花が咲いていました。
 私もシーグラフ東京の役員の方や CGアーツ協会の方と 楽しくお話させていただきましたが、なにせ帰る場所が遠く電車が早いので、 名残惜しく思いつつも中座させていただきました。

[トップページへ] [ローカル環境のページへ] [URAのページへ]

Copyright (c) 1999 by Y. Fukuda
e-mail to: fuk@st.rim.or.jp