「番組」放送のための技術


PHS回線の占有
 番組放送に使われる回線は、CDMA方式によって随時未使用のものを探し出して利用するが、28kbpsの伝送容量を持つ一つの回線の中で、実際にデータを転送するのは9.6kbpsのみである。このバンド幅をHDLC標準に基づいて64に分割し、63のパケットを割り当てる。このパケットの一つが番組の1チャンネルに相当する。なお、パケット番号32だけは特別に予約されており、災害時等非常用のアナログ−ディジタル兼用チャンネルとして供されている。非常用チャンネルをアナログモードで使用する場合、このパケットが優先的にハーフレート4800bpsのバンド幅を確保するように設定されているため、他の通常の番組は、半数以上が自分のバンド幅を維持できなくなり、聴取不能に陥る。ちなみに「多恵子」本文でギィの声を送っていたのはこの第32パケットである。

パケット内のデータ構成
 番組で読み上げられる音声は、1文字(=1音)につき24ビットで構成される。内訳は、文字の種類を示すのに16ビット、文字の発声時の音程を決めるのに3ビット、発声の持続時間の指定に2ビット、そして残り3ビットをシステム予約とする。
 文字はEUC表記に基づく。番組ではこの文字セットの中からひらがな、かたかな、英数字、記述記号のみを使用する。効率から考えれば1音素につき5ビットを割り当て、通常子音1音素と母音1音素で主に成り立つ日本語1音を10ビットとする方が良いが、将来、音声以外の出力方式を取り扱う場合を鑑みて、国際文字コードセットにも拡張可能な16ビットを1文字とした。
 パケット内には、文字データ以外に話者の種類(基本の三種類である男声、女声、ロボットの声に感情や個性などのバリエーションを加えたもの)、発話速度他、各種音声制御を行うためにエスケープ・シーケンス(ANSI非準拠)に基づく情報が流される。その構成は、先頭に8ビットのエスケープ文字、その後にバイト数不特定の制御コードが続く。

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