ばかのろく


いちごの お・う・ち

(東京都大田区)



ゆ:
 おぉっ、「ファンシー」だね!。

も:
 うん、何だか背景の色も突然「メルヘン」だね!。

ゆ:
 そういえば、小学校の時、近所の文房具屋がみんな「ファンシー」になってくのが、スゲーやだったなぁ。

も:
 でもこれみたいに、勢いあまって店自体を「ファンシー」化したってのはなかったな。
 これどこ?。やっぱどっかの観光地?。隣に梅宮辰夫の「辰っちゃん漬け」の店とかあるパターンだろ?。




ゆ:
 田園調布。

も:
 うそだろー、清里とか嵐山じゃないの?。寛平の「アメマ」の大看板とかあったりするような。

ゆ:
 田園調布。しかも駅前商店街。

も:
 あのエライ人がいっぱい住んでる?。高級住宅街の?。 

ゆ:
 だからもぉ、街並みからウキまくってることコノウエないぞ。周りはコギレイなお店と、生け垣とかがきれいにしてある雰囲気のいい邸宅ばっかりだからなぁ。





も:
 あ、ほんとだ。すげー庭木。この遠くに見える赤いのがそうか?。何か「巨大バボちゃん」みたいに見えるな。立ち上がって歩いてきたらコワいよな〜。

ゆ:
 う〜ん、久々に大物の「ヤンキー・タイプ」だな。全国的にはよくあるパターンかもしれないけど、「立地との不釣り合いさ」って点では日本一の「メルヘンばかけんちく」かもね。







も:
 いや、でも「ヤンキー・タイプ」って感じは田園調布とはちょっと合わないんじゃないか?。千昌夫っぽい社長が勢いに任せて「やってもうた」っていう感じの赤坂あたりの成金ビルならともかく。田園調布は、昔からの高級住宅街だし、家柄がいい「もともとお金持ち」ってニュアンスじゃないか?。



ゆ:
 いやいや、「高級住宅街に住むもともとのお金持ち」の中にこそ潜んでる、また別の「ヤンキー性」があるんだよ、やっぱり。

も:
 あー、確かに。よく自由が丘とかにいるな。志村けんのコントみたいな白塗りの化粧して、キャンディキャンディみたいな服着てるあぶねーオバサン。風体はすげー異様なのにピカピカのジャガーから降りてきたりするんだよ。
 そういう変な「メルヘン志向」は確かにあるな。もぉなんか「ウキィー!、雑貨大好きーっ!」って感じの物欲丸だしなタイプ(想像図:「野村監督夫人」)。

ゆ:
 そうそう、「高級住宅街・良家」=「気品とセンス」とは限らないんだよ。「ノーマル・ヤンキイズム」に対して「ブルジョア・ヤンキイズム」だな。ベクトルが違うだけで、バランスの崩し具合としては同類項。
 そう考えるとさっき「立地と不釣り合い」って言ったけど、それはむしろ逆で、このいちごのおうちも「高級住宅街ゆえのフミはずし」なのかも。

も:
 なるほどね、緻密なマーケティグ・リサーチを踏まえての絶妙な出店だったりするのかも、冗談じゃなく。清里とか軽井沢にこのテのものが多いのも、この「ブルジョア・ヤンキイズム」を上手くくすぐってるのかもな。


も:
 それにして凄いなこの丸さ。どうやって造ったんだろ。

ゆ:
 そうそう、ばかけんちくでの大きな疑問の一つが、「実際に施工した人はどう考えながら造ったんだろ」ってとこだよな。とくにこんな「まるいもの」、ムズかしいんじゃないのかなぁ。

も:
 なんかバリバリ江戸っ子の左官屋や鳶の人が図面見て、「こんなバボちゃんみてぇーなモン造れっかよっ!」とか怒ってる絵が浮かぶなぁ(笑)。



ゆ:
 いや逆に、テレながらも結構嬉しがって造ってるんじゃないかなぁ。娘に「とうちゃん、今、「いちごのおうち」つくってんだ。すげぇーだろ。」とか言って(笑)。

も:
 でもお客もいっぱいいるし、地元にはもう馴染んでるみたいだし。こういうのは、地元に受け入れられてんなら「それでOK」なんだろうな。外のヤツが何言ってもムダだな。

ゆ:
 なんか買ってく?。

も:
 いや、それは...。ちょっと勇気いるな。

ゆ:
 何か食おうよ。だいたいこういうところにはクレープとかソフトクリームとかあるだろ。

も:
 いや、オレは向かいの店のチューチューアイスでいいよ。

ゆ:
 いや、歩きながら食うには、そっちのほうが恥ずかしくねぇか?。


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